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泌尿器の病気

急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)

■はげしい脱水症状がおこる

腎臓の機能が急に低下し、身体にとって有害な物質を、排泄できくなくなくる

<症状>
食欲がまくったくなくなり、嘔吐や下痢、脱水などの症状が見られる。
重い脱水症状の場合には、口内も乾燥しパサパサになる。
老廃物が体内に蓄積されると、尿毒症をひきおこし、けいれんなどの神経症状が出る。
血液中の窒素の濃度が上昇し、高窒素血症になる。
血液中のカリウムやカルシウム、リンなどの濃度が異常になり、尿が排泄されず、心臓に障害をおこす。

<原因>
原因はさまざまで、腎臓自体に異常がある場合と、それ以外の器官に異常がある場合の2通り。

前者の場合は、急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)、ネフローゼ症候群など。
後者の場合は、尿路結石症により、尿が排泄できなくなるなど。

慢性腎不全(まんせいじんふぜん)

■症状が出るまで気づかない

血液をろ過して尿をつくるネフロンが、何らかの原因で少しずつこわれていき、腎臓がはたらかなくなります。
慢性の腎不全は、はっきりした症状が出るまでに時間がかかり、症状が出たときには、すでに治療がむずかしいことが多いのです。

<症状>
病気の進行具合によって、症状が大きく異なる。
一般には、食欲が落ちてやせることが多い。
全身の臓器に異常が見られる、尿毒症をおこさないかぎりは、尿の量は減少しない。
一時的に比重の低いうすい尿がたくさん出ることがある。
寝起き時に嘔吐が見られたり、軽い下痢がつづく。
貧血はほぼ100%見られる。
最終的には、腎臓の機能をほとんど失い、高窒素血症をおこし、尿毒症になる。

<原因>
慢性糸球体腎炎(まんせいしきゅうたいじんえん)、間質性腎炎(かんしつせいじんえん)、水腎炎などの病気によって、腎臓の中のネフロンが少しずつこわれていくため、腎臓の機能が低下する。

急性腎炎(きゅうせいじんえん)

■症状がおもい場合は、死亡することもある

腎臓の糸球体の基底膜(きていまく)が、とつぜん炎症をおこす病気です。
軽いときには腎臓に小さな病変が生じるだけなので、とくに症状もあらわれず、気づかれないまま経過します。
しかし、中には死に至る重いものもあります。

<症状>
症状は急性腎不全としてあらわれる。
重い場合は、早い段階で体内のさまざまな臓器が異常をおこし、尿毒症になる。
腎臓から余分な窒素化合物を排泄できなくなり、血液中の窒素化合物の濃度が高くなる高窒素血症になる。

糸球体腎炎の場合には、尿の量が減少する。
食欲不振や元気もなくなり、嘔吐や脱水症状も見られ、けいれんなどもおこる。
口の中が出血していたり、口からアンモニアの臭いがすることもある。

<原因>
アデノウィルスや他のウィルスに感染したときや、免疫作用に異常が生じたとき。
毒性を持つ物質などに対して、腎臓が中毒を起こしたとき。

慢性腎炎(まんせいじんえん)

■老齢の犬はこの病気の予備軍

年をとるとふつう、腎臓の組織が変化して慢性腎炎になりますが、多くの場合症状はあらわれません。
しかし組織の変化がひどければ、慢性腎不全になります。

このときの症状はさまざまで、尿にタンパク質が出るだけの場合もありますが、血液中のタンパク質の濃度が低くなる、低タンパク血症になることもあります。
またネフローゼや高窒素血症、尿毒症などをおこすこともあります。

このようなときには、それぞれの症状にあわせて、慢性腎不全に対する治療を行います。

水腎症(すいじんしょう)

■おなかに大きなかたまりができる

尿が輸尿管を通りにくくなると、腎盂(じんう)に尿がたまり、腎臓が大きくなることがあります。
これを水腎症(すいじんしょう)と呼びます。

腎臓の配置がおかしいなどの先天性のものと、輸尿管に結石がつまったなどの、後天性のものがあります。
多くの場合は腹部に大きなかたまりが生じるか、腎不全の状態になってから飼い主が気づきます。

水腎症は片方の腎臓だけにおこることも、両方の腎臓におこることもありますが、片方だけであれば手術をおこなって、腎臓を摘出します。
左右ともに異常がある場合は、早い段階で腎不全となるので、その治療をおこないます。

ネフローゼ症候群(ねふろーぜしょうこうぐん)

■体がむくみ、元気がなくなる

症候群の名前の通り、原因のいかんを問わず、ある種の症状(尿にたんぱく質が出るなど)が見られる病気を、すべてこう呼びます。
体にむくみが見られるのも特徴のひとつです。

<症状>
見た目の症状としては、体にむくみ(浮腫)が見られる。
元気がなくなり、食欲も減退する。

検査では、尿中にたんぱく質が出る。
血液中のたんぱく質が減る(低たんぱく血症)。
血液中のコレステロールが上昇する(高コレステロール血症)など。
血液中の脂肪や、その類縁の物質の濃度が上昇する。

<原因>
尿細管の組織に大きな変化が見られるが、原因そのものは糸球体(しきゅうたい)にある。
糸球体の基底膜(きていまく)の目があらくなり、大きな分子まで通してしまう(透過性の亢進)ため。
基底膜の透過性を高める病気は、ネフローゼ症候群をおこす可能性がある。
主なものは、糸球体疾患、糖尿病、腫瘍(しゅよう)、白血病、うっ血性心不全、中毒、アレルギー、免疫疾患など。

基底膜(きていまく)の目があらくなると、尿にたんぱく質がもれてしまい、血液中のたんぱく質が減少し、血液の濃度が下がって、血管の内外の浸透圧のバランスがくずれ、血管の壁を通して水分が体の組織に漏れ出す。
これがむくみの原因である。

間質性腎炎(かんしつせいじんえん)

■病気が進行するまで気づかない

腎臓の間質に炎症がおこる病気です。
間質とは、ネフロンとネフロンの間をうめる繊維からなる部分のことで、血管などもここを通っています。
間質性腎炎になると、腎不全の症状があらわれます。
動物病院では間質性腎炎と呼ばれることは少なく、一般に腎不全として扱われます。

<症状>
症状は慢性腎不全のもの。
共通しているのは、水を大量に飲んで、尿の量が増える。
食欲がなくなり、体重が減る。
脱水症状が見られる。
明け方(寝起き)に嘔吐するなど。

<原因>
腎臓に影響を与える病気はすべて原因と言えるでしょう。
ジステンパーやアデノウィルス(伝染性肝炎)、レプトスピラ症などの感染症、薬物、免疫疾患、中毒などの、幅広い原因が考えられる。

腎盂腎炎(じんうじんえん)

■進行すると、腎不全になる

腎臓の腎盂(じんう)が炎症をおこす病気で、尿路感染症の一種です。
腎盂腎炎(じんうじんえん)をおこすと、炎症はそこだけでおさまらず、腎臓の組織そのものまで広がって、症状が重くなります。

<症状>
急性のものと慢性のものがあり、多くは慢性で、症状はほとんどあらわれない。
急性の場合は、膀胱炎(ぼうこうえん)とほぼ同じ症状があらわれ、発熱することもある。
慢性の場合は、症状がほとんどあらわれないため、病気がかなり進行してから気づくことが多く、そのときにはすでに、腎不全になっている。
腎盂腎炎になると、尿がにごり、臭いも強くなる。

<原因>
腎盂腎炎は重い尿路感染症で、膀胱炎(ぼうこうえん)などにかかると、細菌が尿路をさかのぼって腎盂まで進入し、腎盂腎炎をおこすことがある。

腎結石(じんけっせき)

■腎盂(じんう)に結石ができ、尿に血がまじる

腎結石(じんけっせき)は、腎臓の腎盂(じんう)に結石ができる病気です。
ふつうは、病気がかなり進むまで、症状があらわれません。

<症状>
結石は腎臓の片方にできる場合と、両方にできる場合がある。
小さな結石の場合、とくに目立つ症状はあらわれず、飼い主も気づかないことが多い。
そのため、例えば別の病気でX線撮影したときに、発見されることもある。
しかし、尿路感染症を併発することが多いので、そちらの症状があらわれることがある。

病気が進行すると、腎臓の中のネフロンが、3分の2以上だめになることもあり、腎不全の症状があらわれる。
つづいて尿の中に、微量の血が見られることがある。

<原因>
結石ができるメカニズムは、現在でも完全にはわかっていない。
ふつうは、尿路の粘膜が分泌する「保護コロイド」が、異物を包み込んで外に排出するが、何らかの理由でコロイドが乱れると、結石ができやすくなる。

実際に結石がつくられるのは、尿の中に臓器の表皮など、結晶の核となるものが含まれている場合である。
とくに尿路感染症になると、こうした核になるものが尿の中に増えると考えられる。

また、細菌に感染すると尿のペーハー(pH)が上がり、アルカリ性になる。
ほとんどの場合、結石はこのようなアルカリ性の尿のなかでつくられる。
しかし、尿が酸性の場合でも、結石ができる場合がある。

膀胱炎(ぼうこうえん)

■水をたくさん飲み、尿の回数が増える

腎臓から尿道までの経路(尿路)の一部が細菌などに感染して、炎症をおこす病気を「尿路感染症」といいます。
そのうちもっとも多く見られるのが、膀胱炎です。

<症状>
急性の膀胱炎では、発熱、食欲不振、元気がなくなるなど、一般的な病気の症状があらわれる。
また、水をたくさん飲むようになり、排尿の回数が増える。

残尿感もあるので、排尿の姿勢をたびたびとるが、尿が出ない。
ただし尿が出にくいからといって、必ずしも膀胱炎とはかぎらない。

排尿しようとしても尿が出ない場合、尿道に結石がつまっていたり、前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)などで、尿道が圧迫されている可能性もある。

健康なときの尿は、うすい黄色でにごりもないが、膀胱炎のときには尿の色が濃くなったり、にごりが見られる。
ひどい場合は尿に血がまじったり、臭いが強くなることがある。

<原因>
尿道から進入した細菌が、膀胱に感染して炎症をおこす。
膀胱炎は、オスよりメスに多く見られる。
オスの尿道はメスよりも細くて長いため、細菌が入りにくく、さらにオスの前立腺は、細菌の感染を防ぐはたらきを持っているためである。

膀胱炎になると、多くの場合、慢性化もしくは潜在化(細菌が増えずに生き続ける状態)する。
細菌の感染が尿路をさかのぼるように広がり、腎盂腎炎(じんうじんえん)に移行することもある。

細菌による炎症以外にも、結石やストレス、寒冷などからくる膀胱炎もある。

膀胱結石(ぼうこうけっせき)

■メスが尿路感染症になったら、要注意

膀胱に結石ができる病気です。
膀胱結石は、尿路結石のなかでいちばん多く見られます。
尿路感染症をおこしやすいメスの犬に、多く発生します。
ただし結石が小さい場合は流れ出ることが多く、症状があらわれるのは結石が大きい場合が多い。

<症状>
細菌性の膀胱炎と同じような症状があらわれる。
出血が多く見られる。
残尿感があり、排尿の回数が増える。

血が尿の中に長時間ある場合は、血液の成分がこわれて、血色素が溶け出すため、尿の色がコーヒー色、もしくは紅茶色になる。

小型犬で結石が大きい場合は、膀胱のあたりをさわると、かたい石のようなものが感じられる。

<原因>
細菌の感染による膀胱炎が、原因のひとつと考えられる。
膀胱に炎症がおこると、膀胱の粘膜の上皮細胞がはがれたり、炎症によって何らかの物質がつくられたりする。

この物質が結晶化して核になり、結石が成長すると考えられる。

尿道結石(にょうどうけっせき)

■尿が出にくくなる病気

膀胱(ぼうこう)や腎臓から流れてきた結石が、尿道につまる病気です。
オスによく見られ、尿が出にくくなります。

<症状>
尿の出が悪くなる。
排尿の姿勢をとっていても、尿が出ない。
尿がポタポタと落ちるようにしか出ないなどの、排尿障害がある。
しかしこれらの症状があらわれず、いきなり尿毒症をおこすこともある。

結石の大きさによっては、すぐに排泄されることもあるが、他の臓器に結石が残っていることが多いので、症状が消えたとしても、必ず獣医師の診断を受けること。

<原因>
尿道内で結石ができることはほとんどなく、腎臓や膀胱から流れてきた石が狭い尿道につまるため。