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消化器の病気
巨大食道症(きょだいしょくどうしょう)
■食べ物をとばすように吐く
巨大食道症とは、何らかの原因で食道が広がって大きくなった状態をいいます。
このとき、食べ物を胃に送ろうとする食堂の運動が止まります。
<症状>
食べ物や水を吐く。
(ふつうに吐くのではなく、食べ物を遠くに飛ばすように吐く)
このときに、食べ物の一部が肺に入ってしまい、吸引性の肺炎をおこすことがある。
吸引性の肺炎にかかると、体重が減少する、呼吸困難になる、発熱する、鼻汁が出る、咳が出る、などの症状がみられます。
<原因>
病気そのものによって、食道が大きくなる場合と、何らかの病気によって、二次的に食道が大きくなる場合に分けられます。
おもな原因は、無筋力症、多発性筋炎、副腎皮質機能低下症、食道内に異物が入り込む、食道炎にかかる、食道の腫瘍(しゅよう)やその周辺の血管の異常、食道の一部にうみがたまるなど。
<この病気になりやすい犬種>
グレート・デーン、アイリッシュ・セッター、ジャーマン・シェパード。
ミニチュア・シュナウザーとワイヤーヘアード・フォックス・テリアでは、この病気が遺伝することが確認されている。
急性胃炎(きゅうせいいえん)
■繰り返し吐く
胃の粘膜が炎症をおこす病気です。
急性胃炎になると、犬は何度も嘔吐を繰り返します。
<症状>
胃の内容物を繰り返し吐く、水をたびたび飲んでさらに嘔吐を繰り返す。
その結果、体の水分を失い脱水症状をおこす。
吐いたものに、血が混じっていることもある。
<原因>
腐った食べ物や毒物、毒素、草、木、ごみくずなどを食べてしまった。
薬が原因になることもある。
慢性胃炎(まんせいいえん)
■たびたび吐いて体重が減る
胃の粘膜に慢性的な異常がみられる状態です。
さまざまな原因によっておこり、症状もいろいろです。
<症状>
毎日ではなく、数週間にわたり間欠的によく吐く。
食欲不振になり、体重が減る。
大量に水を飲む、貧血や腹部の痛みなど。
<原因>
急性胃炎が移行して慢性になる、尿毒症、胃の働きがにぶくなり、胃の内容物がとどこおる、胃の出口がふさがれる、胃壁に炎症細胞や炎症組織が広がる、胃潰瘍(いかいよう)や胃の腫瘍(しゅよう)など。
胃拡張(いかくちょう)と胃捻転(いねんてん)
■緊急治療しないと、ほとんどが死亡する
胃拡張とは胃が異常に大きくなることで、多くは空気をたくさん飲み込んだり、胃の内部のガスが異常に発酵(はっこう)することによっておこります。
胃捻転(いねんてん)とは、胃内のガスが異常に発酵(はっこう)して、胃がねじれている状態をいいます。
<症状>
腹部がふくれて苦しそうにしている、嘔吐やげっぷをする、大量に水を飲む、食欲不振、元気がない、よだれが大量に出る。
<原因>
食べ過ぎ、胃の中にガスや液体がたまる。
ガツガツと食餌を早く食べ、そのあとに大量に水を飲むと胃捻転(いねんてん)がおこりやすくなる。
食べた後にすぐ運動をするのも原因のひとつ。
<この病気になりやすい犬種>
コリー、ボルゾイ、シェパードなどの大型で胸が薄くて深い犬。
胃潰瘍(いかいよう)
■胃に穴があいて死ぬこともある
胃の粘膜が傷つく病気です。
潰瘍(かいよう)になる少し前のただれた状態は、びらんといいます。
<症状>
よく嘔吐し、胃からの出血によって、吐いたものがコーヒー色になる(吐血)。
(色が黒っぽいのは血が古い、鮮血で真っ赤な色は肺からの出血)
便に血が混じる、発熱する、腹部の痛みなど。
<原因>
人間の胃潰瘍はストレスが原因といわれていますが、犬はそうではありません。
犬の場合のおもな原因は、肥満細胞腫という腫瘍(しゅよう)や腎不全、肝不全やショック、敗血症、低血圧、ある種の薬剤など。
幽門(ゆうもん)の病気
■食後数十分でよく吐く
幽門(ゆうもん)と呼ばれる胃の出口が、何らかの原因でふさがったり、正常にはたらかなくなったりする病気です。
<症状>
固形物を食べた後、30分から2時間くらいたつと嘔吐する。
(吐いたもののほとんどは未消化)
脱水症状や貧血をおこす、体重が減る。
<原因>
胃の内部に異物が入り込む、腫瘍(しゅよう)ができる、胃潰瘍(いかいよう)や胃炎、胃の粘膜が厚くなる、などの原因で幽門(ゆうもん)が狭くなったり、ふさがれたりする。
<この病気になりやすい犬種>
ボクサー、ボストン・テリア、シーズー、パグなどの短頭種。
出血性胃腸炎(しゅっけつせいいちょうえん)
■黒いジャムのような血便が出る
急性の下痢の症状のほかに、重度の出血をともなう病気です。
病気の原因が免疫に関係していると考えられるため、急性の下痢とは区別して考えます。
<症状>
黒いジャムのような、暗赤色の血便が出る。
二次的な症状として嘔吐する、とつぜん食欲や元気がなくなる。
<原因>
ふだんの食餌や環境の変化、他の動物との接触など。
この病気はいまだに、はっきりとした原因がわかっていない。
異常な免疫反応に、関係している可能性がある。
<この病気になりやすい犬種>
シュナウザー、ダックスフント、トーイ・プードル、ポメラニアン、マルチーズなどの小型犬。
慢性腸炎(まんせいちょうえん)
■嘔吐や下痢をする
慢性腸炎の一種で、腸の粘膜が慢性的な炎症をおこす病気です。
<症状>
嘔吐、下痢、腹がなる、口臭がする、よく水を飲む、尿の量が増える、元気がない。
<原因>
食べ物に対するアレルギー、腸内細菌の過剰増殖、リンパ肉腫(ガンの一種)、寄生虫など。
下痢症(げりしょう)
■脱水症状をおこし、死亡することもある
症状がはげしい急性の下痢と、良くなったり悪くなったりする、慢性の下痢があります。
<症状>
急性の下痢、慢性の下痢、脱水症状、貧血、体重が減る、血便が出る。
<原因>
食べ物、食べ物に対するアレルギー、寄生虫、毒素や最近による食中毒、小腸の炎症、リンパ管の拡張、腸内細菌の過剰増殖、血液中のたんぱく質が腸にもれる、慢性の結腸炎など。
腸閉塞(ちょうへいそく)
■腸がつまる
腸閉塞とは、腸に何かがつまって腸のはたらきが悪くなることをいいます。
ひどいときには、腸の内容物がまったく動かなくなり、死亡することもあります。
<症状>
嘔吐する、おなかが痛そうにする、元気や食欲がない。
腸閉塞には、腸管が完全につまっている状態と、そうでないときがあります。
少しでも腸管に隙間があれば、水分などはかろうじて通過しますが、完全に腸管が詰まっている場合は、水の動きも止まり、体内の水分バランスがくずれ、腎臓の障害がおこることもあります。
<原因>
異物を飲み込んで腸がつまるケースが多い。
大きなものがつまるばかりではなく、何かの拍子で口にした糸くずやビニールなどが、少しずつ腸に蓄積され、閉塞につながることもある。
また、ジステンパーや腸内の寄生虫が原因で、腸捻転(ちょうねんてん)がおこり、腸がたたまれるような状態になることもある。
すい外分泌不全(すいがいぶんぴふぜん)
■脂肪をふくんだ大量の便を出す
すい臓に何らかの障害が生じて、酸素が十分に分泌されないため、消化不良をおこしてやせていきます。
<症状>
いつもたくさん食べているのに、体重が減りやせていく。
いろいろな食べ物をあさってガツガツ食べる。
自分のフンを食べてしまう。
くさった油のような臭いの便をする。
<原因>
慢性のすい炎や、すい臓の萎縮(いしゅく)などが原因。
すい臓から、正常な消化を行うのに必要な酸素が、十分に分泌されないためにおこる。
すい臓の酸素を受けると、小腸では栄養物を吸収できなくなり、消化不良をおこし体重がへる。
<この病気になりやすい犬種>
大型の犬に多く発病する。
2歳未満のジャーマン・シェパードやミニチュア・シュナウザーなど。
肛門の病気
■肛門嚢炎(こうもんのうえん)
犬がしばしば発症する肛門の病気に、肛門嚢炎があります。
肛門の左右下側(肛門から見て4時と8時の方向の皮膚の内側)には、肛門嚢とよばれる2個の小さな袋があり、それぞれ細い管で肛門のすぐ内側につながっています。
この袋には、酢の臭いに似た悪臭のする分泌液が満たされており、これが便にまじることによって、マーキングに用いられると考えられます。
犬がひどいストレスや恐怖にさらされると、この分泌液がいっきに放出されることがあります。
しかし肛門嚢が細菌に感染すると、分泌液が放出されないで肛門嚢の中にたまり、それが原因で肛門嚢が化膿することが、しばしばあります。
こうなると犬は非常に強い痛みを感じる為に排便が困難になり、苦しみのあまりなき続けることになります。(小型の犬ほどこの症状をおこしやすいようです)
そこでこの病気の予防法として、定期的に獣医師によって、肛門嚢から分泌液を押し出して、内部を空にしてもらえば、この病気を防ぐことができます。
その際、獣医師の手ほどきを受けて、飼い主が自分でこの処置を覚えれば、以後は飼い主自身がこれを行うこともできます。
■脱肛(だっこう)
肛門から内側の粘膜などがはみ出すことがあります。
犬が栄養不良になると、肛門括約筋や直腸の周りの組織がゆるみます。
この状態で排便時にいきんだり下痢をしたり、あるいはメスが分娩前の陣痛で腹圧が強まったりすると、この脱肛(だっこう)がおこります。
これはまず、食餌を改善し適度に運動して原因をとりのぞき、同時に肛門にワセリンを含む軟膏を繰り返し塗って、粘膜の乾燥を防げば、回復することもあります。
しかし粘膜だけでなく、直腸もはみ出した場合には、外科手術が必要です。
■肛門周囲腺炎(こうもんしゅういせんえん)
犬の肛門の周囲には、臭いのある液体や脂肪を分泌する細い管が、たくさん走っています。
とくにオスでは、これらの腺は一生成長を続けるので、オスの老犬ではこれらの腺がもりあがって見えることがあります。
これらが細菌に感染して化膿し、肛門が赤く腫れたりただれたりすると、強い痛みのために排便が困難になります。
犬の便がかたい場合には浣腸を行い、繊維質の多い食べ物を与え、肛門を清潔にして投薬治療することになります。
しかし症状が重い場合には、外科手術が必要です。
<注意>
毛の長い犬種の場合は、固まった毛が肛門をふさいで、排便を困難にしてしまうことがあります。
毛足の長い犬に対しては、しばしば肛門をチェックし、毛のかたまりが肛門をふさいでいないかどうかを、調べる必要があります。
もし肛門が毛でふさがれていたら、ぬるま湯をひたしたタオルなどで、やさしく肛門をぬらして清潔にし、ときどき、長過ぎる毛をカットしてあげましょう。