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ペットの歴史

人とペットのつながり

犬の歴史

犬の祖先はオオカミと言われています。専門家の間でも大体一致した意見です。
犬の走る速さと持久力は、犬と暮らす私達なら誰もが知っていますよね。
優れた嗅覚で獲物を追跡する能力は、だれにも負けません。

私たち人間が犬と一緒に暮らすようになったのは、今から約一万年前のことです。
犬には獲物を捕らえたり、外敵が侵入してきたとき、吠えたり追い立てたりする能力が
あります。
警戒心がとても強く飼い主に知らせるという行動をとります。
その能力を人間が狩猟に利用したのが始まりと言われています。

犬種の始まり

犬の交配

最初は野生の犬を飼い馴らし、生まれた仔犬の中から望む性質を持ったものだけを残すという方法をとっていた人間ですが、徐々に犬のの個別の性格や性質の違いを比較して、より飼いやすい、より人間の役に立ってくれる犬を求めて、交配にかかわるようになりました。

初期 (原始時代) の犬を飼い始めた頃の人間が重要視したのは、優秀な番犬となるために必要な、異変に敏感に反応してよく吠える性質で、後に牧畜を行うようになってからは人間に馴れやすい犬や、従順で熱心に作業を行うといった性質も重要視されるようになりました。

自分の望む性質を持った犬同士を選んで交配し、産まれた仔犬の中から優秀な性質を持つ仔犬を選んで残すという方法で、新たな犬種を作り出していきました。

その後人間の生活がある程度安定し、国が生まれ文明が発展し、人間に職業というものがうまれてくると、犬の役割も飼い主の職業に応じて専門化・細分化が進みました。
王や裕福な者は、自分の身や財産を守ってくれる優秀な番犬を求め、牧畜を専門に行う者は、不審者や外敵に対して強く反応する縄張り意識の強さや家畜を追って走り回るスタミナと確実に自分の指示に従う従順さを持ったイヌを求め、狩猟を行う者は、獲物を確実に発見してくれる優れた嗅覚や獲物を前にして尻込みすることのないガッツを持ったイヌを求めるようになったわけで、それぞれ自分達の望む性質を持ったイヌを選んで積極的に交配に関わるようになりました。

このことによってただ単にイヌとひとまとめにされていたイヌが、その役割によって『番犬』 『牧畜犬』 『猟犬』 と大きく分化され、現在まで続いています。

狩猟と犬の関係

狩猟方法の変化

人間が銃を発明すると、それまでの狩猟方法にも変化が生まれました。

主人のそばを離れて撃ち落とされた獲物を探し当て、食べてしまうことなく人間の元へ運んでくるということは、犬により強い服従心を求めることになり、更なる犬種改良が進められました。
その他にも獲物となる動物の違いによって、狩猟スタイルも多様化し、犬に求められる能力も多様化していきました。

鴨などの水鳥猟をする時には、水の中に落ちた獲物を回収するために泳ぎが上手であったり、体温の低下を防ぐために毛の量が多いとか長毛であることが有利になります。
ウサギなどの穴に隠れた獲物を探すためにはより鋭敏な嗅覚や、時には巣穴に潜り込んで獲物を追いたてるために小回りのきく小さな体が求められます。

その他、繁みに隠れたウズラやキジなどの野鳥を獲物とする場合には、隠れた獲物を探し当て、繁みから追いたてるために、バネのように飛びかかって鳥を飛び立たせたり、逆に逃げられてしまわないように、音をたてないように身動きもしないでじっと主人に合図を送る、特別な能力が求められるようになりました。

その結果、一口に 『猟犬』 と言っても、獲物となる動物ごとに『ガン・ドッグ(鳥猟犬)』、『ハウンド(獣猟犬)』、『テリア(ネズミなどの小害獣用の猟犬)』の3つに大別されるようになりました。

犬種の確立

ドッグショーの始まり

19世紀始めには様々な犬種が生み出され、同じ犬種であっても個体ごとの能力や容姿にはまだまだ差やバラつきが多くありました。

それまでは新犬種の作出や育成は貴族などが個人で行っていましたが、個人で多数の犬を飼育しその能力を維持するための育成を行うには限界があり、自分の作り出した犬を多くの人々に公表して飼育を促し、個々の犬種をより磨きあげようという動きが出てきました。

そのため、自分の犬を発表する場として1859年に、イギリスで最初のドッグ・ショーが開かれました。
最初のドッグ・ショーはセターとポインターの2種のみで行われましたが、その後ショーが盛んに開催されるようになるにつれて、出場する犬種も徐々に増えていきました。
ドッグショーが開催されるようになると審査の基準が必要になり、個々の犬種の理想とされる姿を細かくまとめた、『犬種スタンダード』というものが編纂されました。

『スタンダード』 によって犬種が確立され、ひんぱんにドッグショーが行われるようになったことで、犬のブリーダーには、大きな目標ができました。

そして、 『スタンダード』 が犬種を育成する指針となりました。

犬はパートナー

癒しの効果

20世紀に入ってペットとして動物を飼う人々が増えてくると、動物が人間に与える『癒し』 の効果が注目されるようになりました。

特に身体に障害を持つ人達が盲導犬や聴導犬といったアシスタント・ドッグを身近に置くことで、単に不便さが解消されただけでなく、日々の生活にハリが出て積極的に行動できるようになったという精神的な効果が報告され始めました。

現在ではHABの研究がすすみ、医療現場でも『動物介在活動(AAA)』 や 『動物介在療法(AAT)』といった活動が積極的に行われるようになり、身体的に障害のある人や精神的に障害のある人、長期療養患者やホスピスケアを受けている患者、独居者やお年寄りの心を癒す効果が、高く評価されています。

このような活動の場でも犬は大活躍していて、最近では『セラピー犬』 という言葉も徐々に定着してきました。

新しい犬種

今後の期待へ

現在でも、新しい犬種を生みだす試みは行われています。

例えばラブラドールとプードル、コッカー・スパニエルとプードルをかけあわせて新しい犬種を作ろうとしている国もあります。

この試みは興味本位のものではなく、犬の毛に対するアレルギーを持っているために、盲導犬や聴導犬をパートナーとすることを諦めざるをえない視覚障害者や聴覚障害者のニーズに応えようという真摯な心から始まりました。
(プードルは人との絆を強く求めるというアシスタント・ドッグとして欠かせない性質に加えて、毛が抜け落ちないという特徴を持っています)

これらの新犬種を作り出すための交雑は、専門家による緻密な計画の元に慎重に行われています。
犬種として確立するまでにはいろいろなハードルをクリアしなくてはならず、長い時間が必要になります。

20年ほど前から始まったこのような試みは、まだまだ試行錯誤を続けている状態ですが、徐々に成果をあげていて、新しい『アシスタント・ドッグ』 として高い期待をかけられています。